ベビーとママの健康相談室vol.3


【医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院 産婦人科部長 青木昭和 先生】

産科救急の現状

 妊娠は病気ではありませんが、お産が一〇〇%安全とも言えません。人間も哺乳類ですから産道を通って生まれる過程で命に関わるトラブルが起こることもあります。全国の産婦人科へのアンケート調査では「もし医師の介入がなければお母さんの命が危ない」と想定されるケースが250例に1例あるという結果が報告されました。実際に亡くなる妊婦さんは全国で年間五十人前後です。わが国では医師や医療スタッフの適切な介入によって、その数が最小限に抑えられています。過度の自然回帰に基づく分娩は危険な場合があるので注意しましょう。
 まずは異常の兆候を見逃さずに、必要があれば医療の力を借りる。母子ともに安全に安心して分娩を迎えるために、そういう気持ちでのぞむことがとても大切です。

注意したい症状

 原因がわからない頭痛、動悸、吐き気、子宮の張り、痛みなどについて、「妊娠中はこんなもの」と見過ごしがちですが、症状が続くときには医師に相談しましょう。検査をして問題がなければ安心ですし、逆に深刻な異常の兆候だったという場合もあるからです。また主治医に「大丈夫」と言われても、症状が続いて心配なときは他の病院でセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。救急搬送のような事態を招かないためにも不安は早めに取り除きましょう。
 産科救急で運び込まれる妊産婦さんの中で最も急を要するのが、止まらない出血です。少量の出血は心配ない場合もありますが、分娩時以外の出血はすべて異常と考えたほうがよいでしょう。常位胎盤早期剥離や前置胎盤(ともに妊娠後期)羊水塞栓症(主に破水後)などが疑われるほか、早産になりかける切迫早産や早産、流産の場合もあります。すぐに病院に連絡して指示を受けることが大切です。
 分娩が始まる前に破水してしまうこともあります。このときも、すぐに病院へ行きましょう。

緊急時どうすればいいの?

 急な出血などがあっても、できるだけ冷静になることを心がけ、すぐに主治医に連絡しましょう。バタバタすると出血が増えることもあるので、頭を低くし、体の左側を下にして横になり安静を保ちます。救急車を呼ぶかどうかも主治医に尋ねるとよいと思います。
 また、緊急時にはまわりの人をうまく使うことが大切です。常日頃から家族や友人などに相談して、救急時にかけつけてもらえる人、病院への移動手段を確保しておきましょう。周囲の協力体制や手順を確認しておけば、いざというとき慌てずにすみます。
 妊婦さんに無理や我慢は禁物です。 “自分のからだに正直に” “赤ちゃんのために”とにかく早く医師に相談すること。それは緊急時の心構えとして、また異常の早期発見のためにも大切です。

京都府の周産期医療システム

  母体や胎児にとってハイリスクのお産になると考えられる場合、高度な医療設備やスタッフを備えた病院へ搬送されることになっています。京都府では「京都第一赤十字病院」が「総合周産期母子医療センター」に認定されていて、むずかしいケースを扱います。また府内各地域の核施設として18の「地域周産期母子医療センター」があり、「宇治徳州会病院」もその一つに認定されています。京都府では大学病院との連携や府県を越えたネットワークも充実してきています。救急時にも安心して受診してください。

(WIRE MAMA 京都版 2017.3・4月号掲載当時の内容です。)


【情報提供】医療法人 徳洲会 宇治徳洲会病院
【住所】〒611-0041 京都府宇治市槇島町石橋145番
【TEL】0774-20-1111(代表) 【URL】http://www.ujitoku.or.jp/
【診療科目】内科、消化器内科、消化器外科、呼吸器内科、呼吸器外科、こう門外科、神経内科、心臓血管内科・循環器内科、小児科、小児外科、外科、乳腺外科、産婦人科、人工透析内科、放射線診断科、放射線治療科、麻酔科(鬼頭秀樹)、リハビリテーション科、整形外科、ペインクリニック・疼痛緩和外科、脳神経外科、心臓血管外科、泌尿器科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、形成外科、歯科口腔外科、救急科(救急総合診療科)、糖尿病・内分泌内科、病理診断科、緩和ケア内科、内視鏡外科

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